新型コロナワクチンの有効性について(前回同様ニューイングランドジャーナルオブメディスンからの引用です)

これまでの大規模な臨床試験でmRNAワクチンはプラセボ注射と比較してCovid-19を発症する可能性を約95%低下させました。この結果は統計分析を行う必要さえないほど明らかな差がみられました。

今回行われたランダム化プラセボ対照試験のデータは最も強力な臨床エビデンスであると考えられています。

第一に、これらのワクチンは、感染だけでなく、重症化も予防しました。重症化を抑えるということは、この感染症を一般的な「風邪」にかえてしまうことも期待されます。

第二に、この研究の参加者にはさまざまな年齢、性別、人種、および民族が広く含まれていました。

第三に、両方のワクチンは2回の接種で投与されますが、最初の接種からわずか10〜14日後にある程度の予防効果が明らかになりました。

2回投与のスケジュールについては、ワクチンの供給量の問題もあり、イギリスでも1回の投与で2倍の人に予防接種をするべきかどうかについての議論がおこり、実際に予定された投与間隔が延長されることになりましたが、95%のワクチン効果の結果というのは、2回目の投与後に得られていますので、いまのところ米国疾病予防管理センター(CDC)と食品医薬品局(FDA)は、可能な限り2回投与のスケジュールを推奨しています。2回の投与で免疫反応が高まり、耐久性が向上する可能性が示唆されています。

全体として、これらの素晴らしい結果により、2つのmRNAワクチンは、これまでで最も効果的なワクチンになりました。少なくとも短期的には、インフルエンザワクチンよりも麻疹(はしか)のワクチンの効果と同じぐらいよく効いています。

臨床試験の結果は、実際の臨床における有効性とは異なる結果がもたらされる可能性はあります。今回の臨床研究の対象者は、Covid-19合併症のリスクが高い人々は含まれていますが、概ね普段の状態は安定しており、研究に参加するのに十分な健康状態の人々でした。ナーシングホームに住んでいる虚弱な高齢者や重度の免疫不全など、より重い病気の集団でのワクチンの効果についてはまだわかりません。(最終レビュー/更新日は2021年1月25日です)

次回もワクチンについてお伝えします。