院長です。 患者さんのベッドサイドでMRIの撮影ができるポータブルMRI(https://hyperfine.io/)がアメリカで認可されました。MRIは簡単にいうと、磁石を使ってCTのような画像を作る検査装置です(MRIのMはマグネットのMです)。強力な磁場を作るので、装置は大きく、また専用の撮影室が必要で、入室時には磁場に反応する可能性のある貴金属はもって入らないように注意が必要です。しかしこの最新のポータブルMRI装置ではその心配はなく、患者さんの寝ている部屋まで装置を運んで、その場で撮影が可能。画像は直ぐにタブレットに送られ、その場で診断が可能というものです(大型の装置に比べると当然画質は劣るようです)。

今回は頭部撮影用の装置がFDAに承認され、臨床試験では脳内出血症例に対する感度80.4%、特異度96.6%であったと一流科学雑誌Nature Communicationsに掲載されていますhttps://www.nature.com/articles/s41467-021-25441-6. 脳血管障害を疑う場合の診断と治療は一刻を争いますので、このような装置が救急センターなどにあれば診断までの時間が短縮され、早期に治療が開始されれば後遺症の軽減に大きく貢献できることが期待されます。

日本は100万人あたりのMRI台数が世界1位ですが、MRI台数が少ない国への普及も視野に入れているようです。