私たちの地域のコロナワクチンは主に集団接種で行われており、役場の方々や住民の方々の協力のおかげで順調に接種が進んでいるようです。一方でワクチンの供給不足の懸念が報道されるようになってきましたが、新たなワクチンについてもいい報告が出てきています。

現在のファイザーやモデルナのワクチンとは異なるタイプのワクチンで「遺伝子組換えナノ粒子ワクチン」と言われています。昆虫細胞を使って精製スパイク蛋白を作らせるそうです。アメリカのノババックス社が開発しており、日本の武田薬品が国内で生産する予定で、早ければ年内にも1億5000万回分を供給する方向で日本政府と協議しているようです。mRNA(ファイザー、モデルナ)やベクタータイプ(アストラゼネカ)のワクチンと比べ、今回の遺伝子組み換えタンパク質タイプのワクチン技術は、すでにB型肝炎や子宮頸がんワクチンなどでも使われています。一方、これらのタイプのワクチンは免疫誘導が弱いことが課題でしたが、「アジュバント」と呼ばれる特殊な免疫増強物質を添加することで高い効果を発揮します(ノババックス社のアジュバントは「Matrix-M™」と言い「サポニン」が主要成分のようです)。日本でも塩野義製薬が同タイプのワクチンを開発していますが、それより先に、こちらのほうが早く供給されるかもしれません。先日ニューイングランドジャーナル(N Engl J Med. 2021 Jun 30)という世界的権威の医学誌に、イギリスでの治験結果が報告され、ワクチンの有効性は89.7%でした。十分な成績と思われます。このワクチンが認可されればワクチン不足も解消されるかもしれません。同タイプを開発中である塩野義の国産ワクチンにも期待したいところです。